テレマーケティング部新設で営業強化

「にんにく卵黄」と「スクアレンゴールド」の商品化と成功をきっかけに、ロフティは独自のテレマーケティング部を設ける。現在の「えがお」に至るまでの大きな方向性が見えてきたのも、この時期である。すでに、年間売上高も3億円を突破するまで伸びていた。

「スクアレンゴールド」発売開始を一つの転機として、ロフティはテレビショッピングを自社制作番組とすることとなった。「スクアレンゴールド」が目に見えて売れ始めたのは、平成16(2004)年以降のこと。この頃から健康食品へ業務をスライドさせていく。
また、業務の拡大にともなって、企業としてのロフティの知名度も高まる。それと同時に、社会的な役割も少しずつ大きくなってきた。企業としての果たすべき役割として、社会貢献活動にも取り組むこととなった。こうして、平成15(2003)年には、日本赤十字社に20万円の寄付を行うなど、利益の社会還元が始まる。

寄付を発案した北野は、「健康食品を販売する企業であれば、小さな会社ではあっても、それなりの社会貢献が必要だと考えた結果です。わずかな金額でしたが、できる限りのことをしたかった」という。当然、「社会」があって、我々の「企業」があるわけなので、社会貢献するのは当然のこと。事業で収益を上げれば、できるだけ「社会」に還元する。原点は「社会」があって我々があるということ。社会貢献するのは当然だという考えである。

社内報創刊、企業理念の確立

平成16(2004)年11月1日、社内報「ロフティ人」第1号が発行される。この年ロフティは、社員数92名、年間売上高29億円に達した。「ロフティ人」は、順調に発展した会社にあって、企業としての社会的役割とともに北野の想いを全社員に伝えるのが目的であった。

創刊号では、北野自らが次のような文(一部省略)を寄せている。
「会社が周りの状況に合わせた変化で、日々進行するなか、毎日仕事に取り組んでいる皆さん、本当にご苦労様です。私は朝礼などを通し、自分の考えを話しているつもりですが、皆さんは理解し、納得していただいているだろうか。生まれ育った環境や、受けてきた教育、経験してきたこと、影響を受けた人物、友人など全てが異なる他人同士がほんの少し話し合ったぐらいで、簡単にお互いを理解できるはずがないと思います。同じ親、同じ環境で育った兄弟姉妹であっても理解できないこともありますし、考えていることが分からないということもあります。では、私と社員の距離においては、親兄弟姉妹のそれとは比較にならないほど、深く大きいと考える方が自然であろうと思います。その距離を埋めるのが、コミュニケーションではないだろうか。本来ならば、一人ひとりに理解してもらうように、コミュニケーションをとりたいところですが、なかなかできるものでもなく、また、言葉を文章にすることによって、何度も読み返し、理解していただけると思い、社内報を発刊することにしました。
…中略…

社内報 ロフティ人※画像クリックで拡大

当社は、本当に体に良いものを健康食品として低価格で提供し、社会に貢献できている会社だと思います。その良い仕事を今後も続けていくために、私の考え方を理解し、仕事に取り組んでいただきたい。会社の社会的責任は『雇用し続けること』。私は社員の幸せ、豊かになるということを、会社にいるときのみならずプライベートな時間でも常に考えてしまいます。あたりまえのことではありますが、経営者としてのあらゆる責任を果たしていきたいと思っています。…後略…」。

「ロフティ人」創刊号の言葉にみられるように、経営理念の確立と社内の意識改革は、重要な課題となっていた。北野は、「どこの会社でも、理念やこだわりがあります。その理念というのは、その会社のトップの『良心』だと思います。『良心』から出る『そうしたい』という想いです。それは経営者の今までの人生の中で経験した苦労、人から助けられたこと、心許せる人間と出会って共に過ごしたことなどから得たものです」と語る。そんな経営者の『良心』を、社員たちにもできるだけ伝えることが、企業として大切だとの信念である。