新社名 株式会社「えがお」へ

平成20(2008)年9月、株式会社ロフティは、社名を株式会社「えがお」へと改称する。社名を変更することは、企業としては大きな決断である。社名変更について北野は、「私自身は、以前から『えがお』にしたいと決めていました。ただ、社内的には、みんな反対でした。これまで、ロフティで一緒に苦労してくれた社員がロフティの社名に愛着があるのは当然のことでした」という。

北野には、対外的には、「えがお」という社名が必ず定着・浸透するという信念があった。今の日本は、「あたたかさ」を必要としている。だからこそ、「えがお」が必要なんだという想いが、新社名には込められていた。
新社名「えがお」の登場に併せるように、11月には「もろみ黒酢ゴールド」を「えがおの黒酢」へ改称、パッケージデザインも一新する。

そのころから、国内では健康食品に対する関心が高まりを見せ始めていた。ブームに先行するかたちで、健康食品分野での営業展開を見せていた株式会社「えがお」にとっては、追い風となり、「黒酢のえがお」というイメージが、全国に一気に浸透することとなった。

平成21(2009)年には、「えがお」の年間売上高が100億円を突破する。平成2(1990)年のロフティ設立から、20年間をかけての達成であった。グループ全体の社員数は185名までふくれあがり、企業規模にふさわしい新本社社屋の必要性が高まっていた。

人を大切に「健康」と「食」にこだわる

北野は、「人を大切にするというのが『えがお』の基本です。人を大切にするということは、人の成長を喜ぶということになります。社員というのは、家族といっしょです。えがおファミリーという考えです。ですから、自分の家族を大切にすると同様に、社員を大切にするのは当然ではないかと思います」と語る。福利厚生面の取り組みも、「社員は家族」という想いを原点に進められた。

福利厚生の充実と並行して、社員の「健康」にも配慮することになる。北野は「だれでも、家族の健康を気遣うのは当たり前のことですが、『えがお』が健康食品業界にあるのであれば、とりわけ健康にこだわらなくてはならないし、見本にならなければならない」と熱く語る。多くの人に「健康」を商品として届けることが「えがお」の役目ならば、当然社員の「健康」にもこだわることになった。

北野は、「事業を通して、一人ひとりが社会から尊敬され、信頼されるような人間に育っていくことが、『えがお』としても、社会から必要とされる企業になることだと思っています。人財は、会社を良くするというよりも、社会を良くするために育てることで、それによって会社が良くなっていくのではないか」と考える。つまり、社員は、「えがお」が雇用しているものの、「社会から預かっている」というのが、企業としての「えがお」の基本的な考え方である。

新社屋の完成と未来への展望

「社会があって、我々『えがお』があるわけですので、社会貢献するのは当然のことだと思います。社会があるから会社が存在し、社員も『えがお』で夢や希望を実現できるとなれば、社会の中で困ったところがあれば、みんなで協力して、お手伝いするという意識を持つのは当然でしょう。これは、もちろん社員個人だけのことでなくて、会社単位においても同じだと思います」。

北野には、多くのお客様に支えられて存続している「えがお」が、利益をできる限り社会に還元するのは当然だという考え方がある。企業としての社会貢献は、「えがお」にとっては、企業理念の大きな柱であった。

平成23(2011)年3月の東日本大震災を受けて、平成24(2012)年には、被災地の小学校へスプーンと箸のセットを提供、さらに社内募金による寄付、売上一部の寄付など、被災地へ向けた支援を行った。同年7月の九州北部豪雨では、被害を受けた阿蘇市、南阿蘇村、熊本市など関係市町村へ義援金を贈呈。また、平成25(2013)年の台風30号では、大きな被害を受けたフィリピンへ義援金を送るなど、さまざまな活動・支援を行ってきた。
また、平成26(2014)年は「熊本城マラソン」への協賛、ロアッソ熊本の協賛スポンサーとなるなど、地域との結びつきを強める活動にも積極的に取り組んでいる。

平成25(2013)年末には、年間売上高250億円を超え、社員数も400名を超えていた。同年7月、「えがお」は、業務の一元化と社内コミュニケーションの円滑化、福利厚生の充実を目的に、熊本市東区東町(旧グランド肥後跡地)に新本社を着工する。

この年の12月には、1年5カ月の工期を経て、待望の新社屋が落成する。1階は、商品の展示スペースや保育園。吹き抜けを通した2、3階はコールセンターを中心とした業務スペースとし、それまでの1.5倍にあたる450名での電話対応が可能となった。4階は社員食堂、5階は来客用スペース、地下1階は福利厚生施設を配置し、お客様サービスの強化とともに、社員が働きやすい環境整備も実現した。

えがお新社屋

北野は「私たちの想いや未来へ向けたミッションを実現するためには、人を育てることはもちろんですが、働く人たちが働きやすい環境をつくることが大切です。お客様に喜ばれる環境をつくらなければ、良いサービスもできません。そういう意味で、新社屋が完成した意味は大きいと思います」と新社屋にかけた想いを振り返る。